のどの痛みのあと肌がザラザラに、赤い線もできた20歳男性

MEDLEYニュース


猩紅熱(しょうこうねつ)という病気は発熱のほか皮膚に特徴的な症状を現します。発熱・のどの痛みとともに皮膚の症状が出て診断された人の例が報告されました。
猩紅熱の皮膚症状
グアム海軍病院の医師が、猩紅熱の症状が強く現れた20歳男性の写真を医学誌『New England Journal of Medicine』に報告しました。
この男性は、3日間続く扁桃(へんとう)の腫れ、のどの痛み、発熱、悪寒、皮膚の症状があり受診しました。
皮膚にかゆみはなく、見た目の症状が腹部から発生して胸部と背部に広がり、両腕、両脚、顔にも現れました。
診察された時点で以下の症状がありました。
扁桃が腫れて液体がにじみ出ている
舌が腫れて細かい凹みが目立っている(イチゴ舌)
首のリンパ節が腫れて大きくなり、押すと痛む
皮膚がまだらに赤くなっている
皮膚に細かくザラザラとした盛り上がり(丘疹)ができている(紙やすり状皮疹)
首と右脇腹に点状出血が赤い線のように並んだ箇所がある(パスティア線)
のどの奥にある扁桃と腹部の皮膚に現れた症状の写真が「参照文献」のリンク先で見られます。
以前に同じ症状が出たことはなく、アレルギーを指摘されたことも、最近新しく飲み始めた薬もありませんでした。
 
検査陽性、抗菌薬で完治
典型的な症状から猩紅熱が疑われました。猩紅熱は、A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染によって起こる発熱と皮膚症状です。この男性は溶連菌の迅速検査で陽性となり、症状と合わせて猩紅熱と診断されました。
抗菌薬(抗生物質、抗生剤)で治療され、3日以内に症状は完全に解消しました。
 
溶連菌とは?
溶連菌は普通の環境の中でどこにでもいる細菌です。扁桃炎や咽頭炎を起こしてのどの痛みなどの症状を現します。のどの痛みだけで治る場合が多いですが、体が溶連菌の毒素に対する過敏反応を起こし、猩紅熱の症状が現れる場合もあります。
溶連菌の感染はとてもありふれており、ペニシリンという古くからある抗菌薬が非常によく効くことが特徴的です。扁桃炎・咽頭炎だけであれば、抗菌薬治療により数日で症状が治まる場合がほとんどですが、数日の治療だと再発することもあるため抗菌薬を10日ほど飲むことになります。その一方で、扁桃に溶連菌が長年住み着いたまま特に症状もなく過ごしている人もいます。
ごく一部の場合で、溶連菌の感染が関与して、特徴的で多様な症状が現れます。いくつかの例を挙げます。
扁桃周囲膿瘍:のどが腫れて飲み込みにくい、発音しにくい、あごが開きにくいなど
リウマチ熱:発熱、息苦しさ、関節の痛み、手足が勝手に動く、皮膚に赤い輪のような模様(輪状紅斑)が出る、皮膚の下に数mm程度の塊(皮下結節)ができるなど
急性糸球体腎炎:血尿、タンパク尿など
壊死性筋膜炎(人食いバクテリア):皮膚や脂肪などの組織が急激に壊死する
この中には溶連菌が見つかった時点で抗菌薬を使うことにより予防できるものもあります。しかし、同じ溶連菌がなぜこれほど多様な状態に結び付くのかについては、いまだ不明な点が残されています。
猩紅熱は一見目立った症状が出るので不安になるかもしれませんが、抗菌薬で治しやすいケースです。熱やのどの痛みに加えて皮膚にも症状があるときは、溶連菌感染の可能性が考えられます。またここでは触れていませんが、マイコプラズマの感染で皮膚に症状が出た場合なども抗菌薬が有効です。
見覚えのない症状に気付いたら、まずは皮膚科やかかりつけの医療機関で相談してください。
◆参照文献
Scarlet Fever.
N Engl J Med. 2017 May 18.
[PMID: 28514617]http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1612308